学校DXの現状調査結果速報-先生のミカタ

~教員110人に緊急アンケート学校DXの現状調査の結果速報~

ICT端末があっても2割は「毎日使用していない」

その理由はあまりに忙しいから「平均勤務時間月間222時間」

学校における教育用ICT端末の整備状況は、1台当り1.4人の児童生徒数が使用する(※)というように「一人一台」時代が間近だと感じさせるほど飛躍的に普及が進みました。

(※「令和2年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」令和3年文部科学省)

しかし、その一方で、教員側はどうでしょうか?

その現状を調べるべく、教育現場のDXを先生と共に推進する株式会社LearnMore(本社:大阪市中央区 代表取締役:坂口雄哉)は、教員を対象に学校DXの現状と、先生の働き方調査のためのアンケートを実施しました。

その結果、「先生用タブレットが配られた」と言う回答は84%と依然100%には遠く、 また、配付されたもののICT端末を「毎日は使用していない」という回答も20.9%に上り、さらに「ほぼ使わない」と言う回答も3.3%ありました。その理由は忙しくて新しいことに着手できない、授業で使用するには準備が大変、授業以外の校務で活用できていない等が挙げられており、今後の教育現場のDX化に向け、その障壁になっているのは「先生の業務毎の優先度が曖昧(選択と集中できない)」だと言う状況が明らかになりました。

4月18日放送のウメダFMラジオ放送の内容はこちら

  • 【調査概要】

調査方法:オンラインアンケート(単純無作為抽出法)
調査期間:2022年2月25日から3月4日迄
調査対象:全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員
回 答 数:110人※ (有効回答数102 [92.7%])
公立学校勤務 86.4%  /  私立学校勤務 12.7%

  • 【主な回答】

~ICT端末の利用頻度~
・毎日使用する:78.1% ・週の大半使用している:5.5% ・週に2~3回:7.7%、
・週に1回:2.2% ・月に1回:2.2% ・ほぼ使用していない:3.3%
~ICT端末配付後の実感~
・授業が以前よりよくなった:76.9% ・よくなっていない:15.4%
~よくなっていない主な理由~
・端末ロック解除やアプリのログイン等、数名の生徒が躓くと授業が止まる
・端末から校務系サーバーへアクセスできずデータ連携できていないから 他

  • 【調査結果詳細】

 

 

画像1-GIGAスクール構想推進の為の先生用端末は配られたか
実態として校用のPCは職員室にあるものの、1人1台端末環境が子ども達に整備されつつある現状において、先生用の端末整備はやや遅れていることが判明しました。

これは子ども達の1人1台端末整備が優先された結果と伺えます。しかし1人1台端末の効果を享受するためには先生用の端末整備は必須事項であることから、早期整備が求められます。 

画像2-端末配付前後の実感
前後比較すると、以前より良くなったという意見が大半でした。その理由として多かったのは以下のような内容

≪授業がよくなったという意見≫
 ・授業中に選択できる指導法が増えた
 ・子どもからの発信等双方向の授業ができる
 ・図や資料等を綺麗に見せることができる
 ・共同編集やグループワークに活用できる
 ・遠隔でもお互いの作品に意見できる
 ・発言をためらう子どもにとって、自分の思いを書き表すことで意見交換ができる
 ・板書撮影等データ管理できる
 ・自宅学習等で活用できる   etc.
≪授業以外の校務においては≫
・会議や資料共有がペーパレスになった
・生徒たちへの連絡手段として活用できる
・タスク管理や情報共有がスムーズ
・部活動の試合の撮影や分析ツールとして活用できる
・専用アプリが使える       etc.

しかし、いいえと回答した割合は、ともに15%を超えています。
その理由は・・・
 ・準備が大変
   ・かける時間に見合った効果が期待できると思わないから
   ・いざ使おうとした時にすぐに入れない
 ・端末ロック解除やアプリのログイン等、数名の生徒が躓くと授業が止まる
 ・そもそも学習外利用を制限しているため、使用しない時は教室の鍵のかかるキャビネットに全員分を保管しており、使う度に取りに来る時間がかかる
 ・学校の通信ネットワーク環境が脆弱で一度に3クラス以上がタブレットを使用すると回線速度が激減したり、接続が遮断される
 ・厳しすぎるセキュリティで必要なアプリがダウンロードできない
 ・校務用パソコンとのOSの違い(WindowsパソコンとiPad)
 ・校務系サーバーに配られた端末ではアクセスができないため、準備した資料をいちいちコピーする必要がある


こうしたこともあって、全ての先生が毎日は利用しないという実態も見えてきました。 

画像3-端末の利用頻度
  • 【毎日利用しない理由は】

 

 

画像4-先生の業務内訳 速報値
その理由の一つには、先生が忙しすぎて新しいやり方を試せないという原因があります。今回の調査対象者のうち、あまりに勤務時間の長い特異者を除いた平均勤務時間は月間222時間でした(授業コマ数と1週間当りの各業務時間を月換算したもの)。これは所定外労働時間に換算すると63時間(*1)となり、令和元年度の毎月勤労統計調査結果の平均所定外労働時間10.6時間(*2)と比較しても非常に高く、所謂36協定締結の特例(月45時間・年360時間)を勘案しても異常といえます。


(*1) 日本教職員組合の2021年学校現場の働き方改革に関する意識調査(回答者7,014人)では月間教員の勤務時間は[学内226時間+自宅25時間]=251時間(所定外労働時間90時間超)過労死ライン(80時間/月)を大きく上回る危険な状態と主張しています。
(*2)「厚生労働省の毎月勤労統計調査 令和元年分結果確報「月間実労働時間及び出勤日数」によると、調査した業種の「所定外労働時間」の平均は10.6時間となっています。
参考:毎月勤労統計調査 令和元年分結果確報|厚生労働省」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r01/01cr/01cr.html

■先生の業務の負担度/重要度/業務量の相関関係
今回の調査で実施した先生の働き方スキャニング(学校の健康診断)結果は上記のようになりました。それぞれの業務の重要度、負担度を5段階評価したものに、業務時間量を球の大きさで示しています。

画像5-先生の業務の負担度_重要度_業務量の相関関係

 

特に、当該業務に係る執務時間を削減したいという潜在的な負担度を補正値として当てはめ、真の相関関係を表現しています。
この働き方調査からは、負担度が高く比較的重要度が低い、かつ業務量も大きい“事務作業”“会議・研修・打合せ”が業務改善の大きな鍵となっていることが伺えます。
奇しくも上記改善が必要な2つの業務はDXの効果が最も現れやすい分野でもあります。
教育現場で効果が現れ始めているDXの波を大きくするためには、まずは授業よりも、校務の業務改善にICT端末を有効活用していくところから着手することが望ましいことがわかりました。

  •  【本件に関する専門家・第三者のご意見】
JICA(青年海外協力隊)ブラジル派遣等の経験を元に、キャリア教育・多文化共生社会や国際理解(SDGs等)に関する講演講師を全国の中学高校等で実施されている廣瀬氏は自身の公立中学校教員時代の経験も踏まえてこのように述べられた。

ICT端末の導入により、生徒の授業中の活動が増え、ICT端末特有のアプリケーション(keynote等)を使っての表現が選択できるようになったことは、これからの時代を生きていく子ども達にとって、大きな学びと言える。また、遠隔での授業参加が可能になったことは、誰一人取り残さない子どもたちの学力保障に繋がると感じる。
ただ、一方で授業スタイルの違いや使用頻度による“教員側の対応および適応”が心配だ。

まだまだ、ICTを活用しようとする教員に負担が集中する等、業務に円滑さを求めるはずが、業務逼迫している教員がいることも無視できない。
 

写真-廣瀬 拓哉 氏
 
  • 【今回の調査内容】

今回の速報値は総数による評価でしたが、
勤続年数による差異や、担当教科、学校規模による有意差があるのかをより深く調査する予定です。
総合学習の時間や、2022年度から高等学校では学習指導要領の改訂に伴い、総合的な探求の時間に変更となる注目教科の負担感も垣間見える結果となりました。
今回の結果はその一部の速報値を記したものです。
 1     調査対象者の特性
  1.1    学校種別
  1.2    公立/私立
  1.3    勤務校の所在地
  1.4    学校規模
   1.4.1 生徒数
   1.4.2 教員数
  1.5    担当学年
  1.6    担当教科
  1.7    職階
  1.8    勤続年数
  1.9    年齢層
  1.10  所属分掌委員会
  1.11  担当する部活動、クラブ活動
 2     学校DXの現状
  2.1    ICT端末配付状況
  2.2    ICT端末使用頻度
  2.3    ICT端末により以前より良い授業ができているか
   2.3.1 その理由 13項目の択一式と自由記述
  2.4    授業以外の学校校務に活用できているか
   2.4.1 その理由 13項目の択一式と自由記述
  2.5    大型提示装置(電子黒板等)の利用頻度
  2.6    学校で使用している端末
   2.6.1 iOS,Android,Windows,Chrome book,Apple TV他
  2.7    学校で使用しているソフトとアプリ一覧(複数回答)
  2.8    業務用メールチェックの頻度
  2.9    GIGAスクール構想に対する理解度
  2.10  テスト作成方法
 3     総合学習について
  3.1    総合学習の準備時間の平均
  3.2    外部委託ニーズ
  3.3    総合学習の授業内容
  3.4    総合学習パッケージの共創について
 4     先生の働き方スキャニング(学校の健康診断)
  4.1    月平均の所定外労働時間
  4.2    業務毎の重要度の5段階評価
  4.3    業務毎の負担度の5段階評価
  4.4    授業の持ちコマ数
  4.5    各業務時間と適正時間の判定
 5     先生のやりがいについて
  5.1    仕事のやりがいを感じるときはどんなときか
  5.2    授業中の工夫

  • 【今回のアンケート実施への思い】

2018年OECD国際教員指導環境調査(TALIS)[日本を含む48ヶ国・地域]では、日本の先生が各国に比べて労働時間が長く、かつその内訳で授業の割合が50%を下回る国は日本だけという異常な結果(下図)を受けて、一体日本の先生の業務の内訳はどうなっているのか、と調べようとするも、明確な業務分類が見えないという壁に当り、先生の働き方のスキャニング(学校の健康診断)のプロトタイプを導入してきました。

画像6-教員の勤務時間OECDカメ48か国比較
画像7-教員の授業に係る業務時間割合OECDカメ48か国比較

その中で、学校のDXの現状を過渡期だから、コロナ禍だからと特異的に捉えたままで良いのか、その期間に教育を受けた子ども達が受ける将来の影響は計り知れないと思い、今回の調査に至りました。

私たちは教育のあるべき姿をこのように定義しています。

「先生が真に必要なことに集中でき、その教育を経た子ども達が社会で活躍できる人に育ち、その一部がまた先生となって学校に戻ってくる好循環が生まれる社会」このあるべき姿実現に向けて教育の担い手として最前線に立たれる先生のミカタとして、弊社は、今後も「業務改善アドバイザー・教員研修講師」や「学習動画教材制作・資料シェアリング」などの活動を行っていきたいと考えております。 

株式会社LearnMore 代表取締役社長 坂口 雄哉

  • 【図解-結果速報データ】

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教育のあるべき姿と現状

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今さら聞けないWEB会議〜効果は0か100ではない〜

DX、コロナ渦下

広く普及したWEB会議システム(Zoom、Teams、Google Meet、Skype等)名前を目にする機会は増えるものの、いまひとつピンとこない…

このように感じることはありませんか?

INDEX-目次-

WEB会議は使い方次第で武器になる

WEB会議は”良い”or”悪い”0か100かで見るのではなく【一部】導入することで50%,30%でも効果が享受されれば大きな武器となる

  • 2回に1回、3回に1回をWEBに変更する
  • 出勤するものの自席からWEB会議に参加する etc.

多くのWEB会議反対意見は、初めて会うときのものを指すことが多い 既知の相手なら2回に1回リアル開催をWEBに変更しても大きな影響は出づらい [リアル]&[WEB]のハイブリットにすることも効果的

WEBミーティングを導入することですぐに効果が現れるのは、アポイント間に設けなくてはならない余白時間や移動時間 これらは導入して即効果を発揮する

サンプルを元に効果を算出してみよう

想定効果の ×50% ×30% = 数時間の効率化

(1)既存のお客様とのコンタクト
 ①平均顧客コンタクト件数 4件/日
 ②管理営業人員 5名
 ③平均移動時間 30分
 ④アポイント前後の余白時間平均 15分

効率化試算
 ①×365日×②×(③+④)

  = 年間 5,475時間

   営業マン 2.78人 分の時間数捻出(平日日勤8時間想定)

(2)社内会議
 ①社内会議件数 6件/月
 ②平均会議参加人数 5名
 ③会議調整時間(含帰社,通勤) 会議毎45分/人

効率化試算
 ① × 12ヶ月 × ② × ③

  = 年間 270時間

   超過勤務時間削減に効果が見込める

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導入までのステップ

STEP1 最適な方法を検討調査

試算結果を元にお打合せの上、最適な導入方法やツール(Zoom,TeamsだけでなくRemoやSpatial chat等広く検討)、どの部分へ導入するかを選定

STEP2 導入を想定する機会を選定

既存のお客様への管理営業や定例会議など、実際にWEB会議一部導入が想定される会議をターゲティング

STEP3 WEB会議環境を構築

よく使用する会議室や事務フロア、ご自宅などをすぐにWEB会議ができるように整備、機材レンタルも応相談

STEP4 活用する土壌作り

効果が期待でき、できる環境を整えても、肝心の使用する方々の理解が得られず立ち消えに…ということのないよう、活用する土壌作り